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【神鳥裕之監督】大一番で大切なものは 「勝利への欲求」を強く持って戦う気持ち(VOL.38)

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「今季の明治は紆余曲折を経て強くなる」。シーズン前の言葉に嘘はなかった。
試合ごとに着実な成長を見せる紫紺の軍団は、前評判の高い早稲田をいかにして破るのか。
指揮官に聞いた。

成長を加速させる 高野HCの手腕

この対抗戦では、1試合ごとの成長をとても感じています。筑波戦(31〇0/11月3日)では相手をシャットアウトできました。
これはコーチンググループの努力の賜物です。HCの高野(彬夫)を中心に、ラインアウトとディフェンスのコリジョンは杉本(晃一)、スクラムとアタックのブレイクダウンは滝澤(佳之)と、アシスタントコーチを含めた指導スタッフの連携が非常にいい形で 取れています。レビューもしっかりとした内容を選手側に提示してくれているので、メッセージが明確に伝わっている。こうしたところがうまく回って、チーム全体のまとまりを生んでいると思います。
高野のコーチングは、本当に信頼できます。彼の持っているリーグワンでの経験と着眼点、さらにはそれらを選手に落とし込むためのコーチングの引き出し。こうした能力を兼ね備え、多大な貢献をしてくれています。実際のゲームにおける対策も、相手の特徴の把握や、自分たちの課題を見つける力がものすごく高い。そして、それをクリアにわかりやすく、選手たちへ浸透させる能力がある。その点もコーチとしての大きな魅力です。 

早稲田の強みは スクラムとディフェンス

 今季の早稲田の強みは、スクラムとディフェンスです。服部(亮太)選手や矢崎(由高)選手がメンバーに入り、アタックは春よりも厚みを増していますが、昨季までとの大きな違いはこの2点でしょう。先日の帝京戦(48〇17/11月3日)ではスクラムで押し込む場面が何度もありました。ディフェンスも後半はロスタイムまで無失点。どこが相手でも、ハイパフォーマンスを出せるチームだと思います。
スクラムは春季大会では圧倒されましたが(26●36/6月2日)、それ以降は選手と滝澤コーチが一体となって大きく成長しました。しかし当然、早稲田も伸びている。お互いに力を入れている領域がどうなるのか。予想しづらいのが正直なところですが、仮に「がっぷり四つ」でしっかりと組み合えれば、決定力は五分、またはそれ以 上の力を持っている自信があります。セットプレーとFWの接点。ラグビーでもっとも重要な部分でプレッシャーをかけていきたいですね。
活躍する1年生が多いのも特徴です。早稲田では服部選手や田中(健想)選手、明治では萩井(耀司)や白井(瑛人)。この世代の特別なプレーヤーが対抗戦のトップレベルのチームに集まっています。総じて言えるのは、こうした選手たちにとって学年は関係ない。自分のパォーマンスを一貫して発揮できている。備わった力を常に出せるのは、素直にすごいと思います。

ビッグゲームを 決するのは「勝利への執着」

昨季のように簡単にスコアが開くとはまったく思っていません。優勝を争うゲームになるとすれば緊張感も高まり、ある意味「殴り合い」の試合は考えにくい。先ほども話したとおり、早稲田のディフェンスは固く、規律と約束事が徹底されています。我々も変わりませんが、ブレイクダウンに余計な人数をかけず、ファイトするプレーヤーは懸命に戦い、残りの選手は広がってスペースを埋める。フェーズを重ねても、(ディフェンスの)枚数はなかなか減らないでしょう。
こうしたゲームを制するために大切なことは、準備してきたものを実行したうえで、どれだけ勝利への欲求を強く持てるか。自分のため、仲間のため、応援してくれる人たちのために勝つ。それまでの積み上げを信じ、そこに焦点を当てて、目の前のプレーに全力を注ぐことが重要です。