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【神鳥裕之監督】「どこまで強くなるのか 想像できないほど伸びしろがある」(VOL.37)

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思いがけない敗戦や数多くの課題。101年目のシーズンの船出は決して快適なものではなかった。
しかし就任4季目の指揮官は、チームの成長に大きな期待と自信を抱いてる。

明治のスクラムを 必ず完成させる…

八幡山でトレーニングしたことを試合でどれだけ出せるか。今季の春はそこにこだわりました。その観点で言えば、帝京戦(24△24/6月9日)が、もっとも高いパフォーマンスを発揮できた試合だったと思います。選手たちにも、「着実に成長している」とフィードバックしました。
 春季大会は公式戦ですから、もちろん勝敗にはこだわらないといけません。目の前の勝負に全力で挑まなければ、決して強くはなれない。ただし同時に、結果に一喜一憂せず、伸びしろを見定める視点も大切です。とくに今季は昨季までのような完成された集団ではありません。始動した時点で、「一戦ごとに成長していくだろう」と想定していました。私自身、どこまで強くなるのか想像できないほど大きな伸びしろがあると考えています。その意味では、早稲田戦の黒星(26●36/6月2日)を次の帝京との試合にうまく結びつけてくれました。このメンタリティの変化は、シーズン本番に向けて希望を抱かせてくれるものだと実感しています。
 スクラムは皆さんもご覧になったとおり、苦戦が続きました。とくに早稲田とは、つくり込みや準備の時間において差があったのは間違いないでしょう。だからこそ、本当にここからだと思っています。現状を知って悔しさを味わった。「いける」「できる」とは思えなかった。こうして危機感を持てたのはプラスに働くはずです。
 滝澤(佳之アシスタントコーチ)からは、「課題はたくさんあるけれど、それよりもシーズン当初から掲げている、セットアップや低さといったシンプルなフォーカスをしっかり実践していこう」とのレビューがありました。目の前の事象に慌てることなく、コーチの熱意と選手の自覚がピッタリと合ったときに初めて、明治のスクラムが完成すると信じています。それを最高の舞台で披露したい。ファンの皆さんにはもう少し長い目で見てもらえるとうれしいですね。

紆余曲折を経て 強くなるチームに

 今季、S&Cコーチが変わりました。私がリコー時代に時間をともにした、岡(誠)さんに声をかけ、来てもらっています。当時のトップリーグで(S&Cの)ヘッドコーチまで経験された方なので、新たな刺激や気づきを与えてくれます。たとえば、ジムにはこれまで鏡がなかった。一定数ですが、自分の体を見るのが好きな選手はいて、それが可能になればモチベーションもあがる、と。当然、フォームのチェックもできるので、すぐに導入しました。
 また、昨季までは授業への出席の関係で、どうしてもウエイトトレーニングの時間の枠のなかで練習に取り組めない選手がいました。彼らには木曜日のインディビデュアルデーと、月曜日のオフに自主トレをしてもらっていたのですが、岡さんは、「私が見ます」と。これまでコーチングを受けられなかった選手も、必ず木曜日に岡コーチのもとで練習できる環境が整いました。
 強度もあがり、時間も延びたため、成果は確実に表れています。体重自体は微増ですが、体型を含めてフィジカルはかなり強くなりました。帝京戦のブレイクダウンでしっかりと戦えていたのが、なによりの証明です。
 冒頭の話に戻りますが、今季は学生らしく紆余曲折を経て成長し、強くなるチームと考えています。春季大会の成績(Aグループ3位)もそんな感じですよね。上下動を繰り返したほうが強くなるのではないでしょうか。そのうえで12月、1月に実力とコンディションをピークへと持っていく。常に頂点を念頭に置きながら群雄割拠のシーズンを戦い抜きます。