プレッシャーのなかでも、強いキャプテンシーでチームを鼓舞した背番号12の胸に去来するものとは―。
いくつもの要素がかみ合い今季の理念を体現
スローガンに掲げた「ONE MEIJI」がカギを握った一年だったと思います。(対抗戦の)慶應戦を振り返っていたとき、選手とコーチ陣の間で意見が強くぶつかり合いました。衝突の直後はすごく不安でしたが、逆にいえばスタッフと話し合える、いい機会にもなりました。リーダー陣と監督、コーチが集まって意見をかわし、さまざまな案を出していく。チームの成長には欠かせない要素で、そのうえで全員が同じ絵を描かないと、「ONE MEIJI」を実現できない。選手とスタッフ、お互いが窮地に立たされたからこそ理解が深まったと思います。例年は指示にしたがうだけで一方通行になりがちでしたが、選手側の提案も、コーチ陣の意図の説明も増えて、そこを境にいい方向へと進んでいきました。そもそも今季は創部100周年。選手みんながプレッシャーを感じるなかで、苦しい思いをしながらも、いいチームづくりができて、ファンの皆さんも巻き込めた。決勝の終了直後に聞こえた「明治コール」がそれを証明していると思います。同期に恵まれたのも本当に大きかった。先日、ドキュメンタリーが放送されましたが、見た人たちからは、「いい学年だね」「4年生の雰囲気がよかったよ」とすごく言われました。「4年生がこのチームをつくる」といつも思っていたので、この代の一体感も「ONE MEIJI」を体現できた大きな要因のひとつです。
明治のプライドで 帝京を乗り越えたかった
だからこそ決勝で負けたのは、本当には悔しいですね。「4年間で一度も日本一になれなかった」「もっとできることがあったんじゃないか」。時間が経てば経つほど、そう考えてしまう自分がいます。帝京は、プレーの質が最後まで落ちませんでした。考え方が大人で、勝ち方も知っていた。だからと負けて当然とは思わないし、言い訳にもできない。明治は明治で、自分たちのラグビーを貫き通さないといけなかった。相手がどんなスタイル、戦い方であっても、明治ラグビーのプライドで乗り越えないといけなかった。目標とする結果を残せなかったために、「もっとするべきことが…」と、頭のなかに思い浮かんでしまうんでしょうね。
後輩たちになにか伝えるとすれば、今季、時間を費やした取り組みに間違いはないので、来季も引き継いでほしい。この100周年のシーズンを通して、明治のプライドを少しは取り戻せたと実感しています。でも長く続いてきたチームだからこそ、一年ですべてを元通りにはできない。この負けを材料に、なにが足りなかったのか、なにを伸ばしていくべきか。次の4年生はコーチ陣としっかり話し合ってもらいたいですね。乗り越えられない壁はないと思うので、ここから先のことは後輩たちに託します。