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【神鳥裕之監督】「ハイブリッド重戦車」を体現して必ず勝利をつかむ(VOL.35)

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創部100周年で迎える明早戦。今季掲げるテーマ「ハイブリッド重戦車」はどこまで完成しているのか。ライバル早稲田に対する秘策は? 決戦を目前に控えた指揮官に話を聞いた。

王者・帝京を上回る力がある

シーズン当初に掲げた「明治らしいラグビーを体現する」という目標。試合のなかで数多く見せられるようになってきました。クオリティの高いプレーも増えている。ここまでは順調に進んでいます。
 FWでいえば、スクラム。(対抗戦の)前半戦は、しっかりと8人で組んで積み上げたものを発揮した結果、相手を圧倒する場面が多く見られました。これからの相手はさらにレベルが上がり、がっぷり四つで組み合ってくるでしょうから、非常に楽しみにしています。早稲田もここ数年、強化を図っているので勝負を避けるプランはない、と想像しますが、とはいえ器用なチームです。ダイレクトフッキングも織りまぜてくる可能性は高い。いずれにせよ明治は8人でまとまって押し切る。これに尽きますね。
 BKもここまで高いパフォーマンスを見せてくれています。個人に依存せず、コンビネーションが非常に機能している。個々の高い能力をいかにチーム力へとつなげるかが重要なポイントになると考えていましたが、その点では伊藤HCがコーチング能力を発揮してくれています。BKにかぎらず、滝澤、杉本両コーチ陣やその他のスタッフの努力と、それにコミットする選手たち。まさにスローガンの「ONE MEIJI」にふさわしい、みんなの頑張りが少しずつ実になっています。持っている能力を最大限に出せれば、帝京を上回る力がある。わたしはそう思います。それを引き出すためには、全員が同じ絵を描けなければいけない。ここからが本当の勝負です。

憎たらしいほど強い集団をめざす

――高い得点力の反面、相手にトライを許す場面も見受けられたと思います。

 もちろん、レベルアップしなければいけないところはあります。ディフェンスの粘りに関しては、原因はひとつではないですがメンタル面もあると思います。大差でリードしていても、最後の最後まで気を抜かずにゲームを締めくくる。序盤でスコアが開くと集中力の維持が難しい側面はあるかもしれません。しかし、それを言い訳にはしたくない。本当に強いチームは、最後まで一貫性を持った戦いができます。明慶戦でも、「伝統ある試合で、とどめを刺すのも相手に対するリスペクトだ」と選手には伝えました。
 もともと能力は十分で、それを示せたゲームもある。重視すべきは一貫性と再現性です。素早いセットを起点に、自分のターゲットをノミネートして、迷いなくラインを上げる。相手の勢いが増す前に仕留める。これが原理原則。このシンプルな構造をすべての試合、状況、展開、エリアで貫き通せるか否か。方向性に間違いはありません。さらにレベルを上げていきます。
 今季の早稲田は着実にチーム力を上げています。春の段階では多少スコアをあけて勝利することができましたが、シーズンが深まるにつれて完成度を高めている印象です。

――早稲田で、とくに注目する選手はいますか。

 若い選手がいいですね。松沼(寛治)、矢崎(由高)といった1年生が堂々とプレーしています。
 HOの佐藤健次は影響力のある選手。勢いを止めなければ、早稲田を乗せてしまうでしょう。我々の強みであるスクラム、ラインアウトモールで上回らないといけない。つまり、ポイントはFW戦。お互いにBKには自信を持っているので、それを生かすも殺すもFW次第。明治らしく序盤から圧倒して、ボール争奪の局面で優位性を保ちたいですね。今季めざしている「ハイブリッド重戦車」を体現できれば、必ず勝利をつかめると信じています。