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100年目のキャプテン「力強く」「賢く」「楽しく」頂点をめざす(VOL.34)

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廣瀬雄也主将


記念すべき100年目のシーズンが始まった。大学日本一を義務づけられた明治にとって、メモリヤルイヤーのリーダーにかかる期待と重圧は大きい。それでもあくまで「楽しむ」と廣瀬主将は前を向く。

偶然の巡り合わせ その重圧を楽しむ


――さんざん聞かれたかと思うので申し訳ないですが、創部100周年のキャプテンです。特別な思いは?
 それについて聞かれる機会も少なからずありますし、この春シーズンは例年よりもお客さんが多い印象で、徐々に重みを感じています。
 ただ神鳥監督から、「巡り合わせでお前にしかできないし、もし日本一になれば歴史にも名を刻める。そのチャンスがあるんだから楽しめばいい」と言われて。それからは気持ちがすごくラクになったというか、楽しもうと思えるようになりましたね。

――U17日本代表、東福岡で主将を経験しています。チームをまとめる立場には慣れているのでは?
 いえ、正直なところ、いまでも人前で話すのはあまり得意ではありません。とくに最初はうまく伝えようと考え過ぎて、空回りしていました。だけどあるとき、練習で厳しく追い込まれたり、ゾーンに入ったりすると、言葉がポンポンとわいてくることに気づいたんです。神鳥監督にも、「上手にしゃべろうとしなくていい。自分の思いをただ会話のように発すれば、自然と出てくるから」と。その意識を持って方言もまじえながら、少しずつ自分の思いや考えを言えるようになってきましたね。
 それに加えて、行動でも示していきたい。練習や試合はもちろんですが、グラウンドの外や寮生活での振る舞い、態度でチームメイトの信頼を勝ち取りたいとも思っています。

個々の強さを前面に相手DFを賢く壊す


――春季大会はケガで最初の2試合(流経戦・早稲田戦)を欠場しました。
 焦りましたし、地元の九州開催の明早戦に出られないのは悔しかった。でもその一方で、いい発見もありました。
 1年生の(対抗戦の)帝京戦からずっと12番を背負ってきて、次の選手が出てきていないのがチーム内の課題だったんです。宏明さん(伊藤HC)ともよくその話をしていたのですが、そこに山田(歩季)が現れて、すごいヒットとラインブレイクを何度も見せてくれました。来季以降のインサイドCTBを任せられそうな存在が出てきて、その点はすごくよかったのかなと思います。

――明治の試合を客観視できる機会にもなりました。なにを感じましたか。
 今季のアタックは、モメンタム(勢い)を大事にしています。システムやスキル以前に、明治らしい「重戦車」「前へ」を意識する。(春季大会の)最初の2戦は、ボールを持った選手は常に自分が思うとおりにキャリーして、強さを体現してくれたと思います。システムに頼らず、流経や早稲田を相手に多くのトライが取れて、いいスタートが切れました。



――神鳥監督は今季、パワー、スピード、大きさを兼ね備えた「ハイブリッドな重戦車FW」をつくる、と公言していますが、BKも近いものが求められているのですね。
 それに加えて、BKは独自に「デストロイ」と「スマート」をテーマに掲げています。相手のディフェンスを破壊し、なおかつ頭を使いながら外のスペースにうまくボールを運んでいく。そのなかでも試合でいちばん出したいのは、先ほども言った「モメンタム」、BKでいう「デストロイ」です。相手の守備を壊せる個人の強さは絶対に必要で、前提条件。両ウイングを外側で好き放題走らせるためにも、ここは追求していきたいですね。

――BKは個々の能力、連携、現時点の完成度と、いずれも明治が頭ひとつ抜けている印象を受けます。
 東海戦のときに(飯沼)蓮さんが解説で会場に来ていて、「(BKが)すごく自由に走り回って楽しそうだね。いいじゃん」と言ってもらえました。自分たちでは気づいていませんでしたが、思い返すと、ラグビーを楽しめている感覚はあります。僕たちはラグビーが好きで楽しいからやっているわけで、縛られ過ぎず、もっと自由にプレーしていきたい。そこにスキルやシステムといった、明治のラグビーをシンクロさせるのが理想ですね。少なくとも、現時点で見ている人にそう思われるのは、いい傾向だと思います。

――とくにFBに転向した、池戸(将太郎)選手が生き生きしています。
 あれだけのロングキックを持っていて、スキルも多彩で、冷静にプレーできる。そういう選手が後ろにいてくれて、本当に頼もしいです。昨季はロングキッカーが僕だけで苦しい部分もありましたが、今季は一試合の疲労感はまったく違います。本当にありがたい存在です。

ファンのみなさんと一緒に「ONE MEIJI」をめざす

――4年生のまとまりはどうですか。
 本当に仲がよくて、20人以上いるにもかかわらず、あまりグループで分かれていません。それは他の学年よりも強いカルチャーだと思います。 僕がケガで抜けていた時期の練習も、他の4年生がすごく声を出して引っ張ってくれました。それぞれの得意分野で積極的に話していて、本当に頼もしく感じましたね。下級生は自分たちでは気づいていないかもしれませんが、その影響を受けて、3年生以下の選手もよく声が出ていました。
 神鳥監督や宏明さんからも、「いままでにないくらい、いい雰囲気の春シーズンだね」と言ってもらえて自信になりました。学生ラグビーは上級生がチームをつくると思うので、これからも継続していきたいですね。

――期待できるシーズンになりそうですね。では最後に、ファンのみなさんにメッセージをお願いします。
 今季のスローガンは「ONE MEIJI」です。チーム全体でひとつになって、私生活も含めて日本一をめざします。選手やスタッフはもちろん、ファンの皆さんとも一体感を持ちたいと思っているので、スタジアムやテレビの前で一緒に戦っていただけるとうれしいです。それがなによりも選手の力になるので、今季も応援よろしくお願いします。