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明治で過ごした4年間悔しさとともに次なるステージへ(VOL.33)

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レギュラーメンバーに4年生が少なかった今季。難しい状況のなか、最上級生たちは強い使命感と責任感を背負って戦い、燃え尽きた。そして、悔しさを胸に次のスージへと歩みを進めていく。  

PR/中村公星
詰めの甘さを痛感した後半の2本のスクラム



 最終的にはまとまりのあるチームになりましたが、メンバー入りする4年生が少なかったのは多少なりとも影響がありました。結局、最後にものを言うのは最上級生の底力。ルビコンの選手のがんばりも感じていたので難しい部分ではありますが、より多くの4年生がペガサスにいれば、練習の雰囲気が悪いときなどにもっと修正できたのではないかと思います。
 (大学選手権準々決勝の)早稲田戦は後半の前半に、スクラムで2本立て続けにペナルティを取られたのが勝負の分かれ目になりました。自分たちが想定していたスクラムを組めなかった、細かいところまで詰められなかった、そういう甘さが出てしまったと痛感しています。
  交代してベンチに下がったあとは、ただ黙って試合を観るしかできませんでしたね。スクラムで相手にペースを取られたというメンタル的なきつさもありましたし、プレーする選手からも焦りを感じました。攻めてはいても、「ミスするんじゃないか」「相手にボールを取られるんじゃないか」と、見ている側もハラハラしていましたね。
 来季からはリーグワンのリコーブラックラムズ東京でプレーします。若い選手が多く、自分にも出場機会のチャンスは巡ってくるはずです。経験ある選手からは学ぶべきところは学んで、吸収して、成長の糧にしていきたいですね。

HO/紀伊遼平
対抗戦の早稲田とは守備の最後の粘りが大きく違った



 最後の早稲田戦が終わってかなりの時間が経ちましたが、悔しさを含めて、まだ受け止め切れていない部分は多いですね。この感じだと、一生、消化しきれないんじゃないかと思います(笑)。
  早稲田は対抗戦と比べると、ディフェンスの最後の粘りや激しさが違いました。ボールを持てばゲインラインは切れましたし、1対1でも前には出られましたが、「トライだけは絶対にさせない」という意識が段違いでしたね。自分は13点差の残り20分からの出場でしたが、まったく焦る必要はないと考えていました。そこからわりとすぐに、相手に嫌な印象を与えるトライ(※スクラムのペナルティトライ)を奪えて、残り10分で逆転というイメージ、シナリオを描くことができた。ただ先ほども言ったように、とくに22mラインの内側の守りは本当に堅く、そこを最後まで突破できないまま終わってしまいました。
 本当に悔しかったのは、キャプテンの(石田)吉平を大学日本一にさせられなかったこと。すごくいいキャプテンで、いいやつで、すごいプレーヤーでした。だからこそ泣き崩れている彼に、自然と手を差し伸べていましたね。彼は素晴らしい人間でした。
 FWの後輩たちには、とにかくスクラムをがんばってほしいですね。ほかのプレーのレベルはすごく高いので、相手を圧倒するスクラムをつくりあげてください。

PR/大賀宗志
ケガでの長期離脱恩返しのためにも絶対に勝ちたかった



 腰のケガのため、シーズン終盤までゲームに出られませんでした。春の慶應戦から痛みを感じ始め、検査の結果、ヘルニアだとわかりました。下半身に痺れはなかったので当初は対抗戦に間に合うと言われていたのですが、夏合宿のリハビリ中に違和感を覚えたため、復帰までに想定以上の時間がかかりました。リハビリの期間はチームのサポートにまわる時間が長く、そのなかで気づいたのはメンバー外の選手たちの献身的な姿。明治が勝つために、ここまでやってくれているんだという事実に気づかされました。またバイスキャプテンの役割を果たせず、戦力にもなれていないうえに、後輩も育てられていないという気持ちも強くありました。だからこそ、あの試合(早稲田戦)は勝ちたかったですし、いまでも申し訳ない気持ちでいっぱいです。
 その早稲田戦ですが、最初のラインアウトをスチールされたときに嫌な感じはしました。あのサインは本当にわかっていないと取れないし、自分も取られるとは思っていなかった。早稲田のこの試合に懸ける気持ちやしっかりとした準備を感じました。
 来季以降のスクラムに関しては、やはり帝京への対策が必要です。まとまりや押しの強さはもちろんですが、「別の競技」と言ってもいいくらい本当に独特の押し方をしてきます。徹底的に研究して、うまく対応できるようになってほしいと思います。

LO/武内慎
すべてを出し切り後悔なく4年間を終えられた



 最後の早稲田戦は結果を出せず、日本一にもなれなかったので、当然悔しい気持ちはあります。でも、ぼく自身はあのゲームですべてを出し切って、明治での4年間を悔いなく終えられました。「いまできる最善をただやりきる」。後輩たちには、自分のプレーを見てそう感じてもらいたいと思っていたので、その意味でも後悔はありません。
 シーズンの多くの時間でバイスキャプテンの大賀を欠いていましたが、「紫紺のジャージーを着る23人が明治のベストメンバーだ」ということは、キャプテンの石田を中心に、ぼくたち4年生が口酸っぱく言ってきました。実際に3年生の為房がしっかりとした3番の選手に成長してくれたので、チームにも十分浸透していたと思います。
 早稲田戦を振り返ると、大事な局面でペナルティを取られたり、トライを取るべきところで取れないなど、ゲームを優位に進められる場面でうまくいきませんでした。ファンの皆さんには申し訳ないですが、なんとも明治らしいというか(笑)。早稲田にはシーズンで二度勝てないというジンクスも気にしてしまったり。そういう小さなものが積み重なって、最終的なスコアの差につながってしまったと思います。
 来季からリーグワン(浦安D-Rocks)でプレーします。チームで着実にキャリアを積んで、20代の半ばには日本代表を狙える位置にいたいですね。

WTB/原口虎太郎
早稲田は完璧な準備を整えていた



 対早稲田という意味では、チーム全体で自信がありました。対抗戦は完璧に近い形でドミネートできましたし、選手権も(リザーブで)ベンチで観ていて、あまり雰囲気がよくない序盤の状況でも「まあ、いけるだろう」という感じだったのですが……。ただ、戦術的な面で早稲田は対抗戦とはかなり変えてきていました。チーム全体で明治と戦うための準備が完璧にされていた印象です。リザーブの交代もおそらく予定通りでしょうし、対抗戦まではすべて順目にアタックしていたのが、選手権のあのときだけ逆目に動かしてトライされてしまいました。「自分たちのほうが強い」という意識はいまでもありますが、この試合に向けた準備では負けていたのかもしれません。
 今季は、4年間でいちばん楽しいシーズンでした。試合に出続けて、試合そのものを楽しめたのが大きかったですね。だから、後輩たちにもラグビーを楽しんでほしいと思います。みんな、いままで培ってきたセンスやラグビースキルはあるはずなので、それを信じて楽しんでもらいたい。ときには悩むことも必要だと思いますが、ぼく自身、考え込んでうまくいった試しがありません。外的な要因は自分では変えられないですし、それよりも原点に立ち返って、ラグビーを始めたころの気持ち、プレーの一つひとつが楽しかったころを思い出して、がんばってほしいですね。

CTB/齊藤誉哉
ベンチに下がったあとグラウンドを観られなかった



 正月越えも果たせませんでしたが、「愛されたチーム」だったのかなと感じます。後輩たちも「もっと長くこのチームでやりたかった」と泣いてくれたり、ファンの方もSNSを通じて励ましの言葉をたくさん発信してくれて、本当に感謝しています。だからこそ結果を残したかったですね。
 同じ相手と立て続けに戦わないといけない難しさはありました。ぼくらは戦い方を変えず、準備期間はその精度を高めることに力を入れましたが、早稲田は引き出しの数そのものを増やしてきていた。ぼくらは力を出せば圧倒できると思っていましたし、実際にスコアするチャンスも明治のほうが多かったのですが、準備や対策といった面で上回られたという印象です。(後半34分に交代で)ベンチに下がってからはほとんどグラウンドを観られませんでした。もちろん残った選手たちを信じてはいましたが、ずっと地面を観るしかできなくて。最後の場面ももちろん観ていなくて、試合終了のホイッスルが聞こえて「あぁ」っていう……。状況を受け入れられなかったですね。
 ただ、メンバー、ノンメンバーに限らず、すべての学年でまとまってよいチームをつくっていく文化は残せたと思います。技術的な面で言えば、後輩たちはどの大学の選手よりも高いスキルを持っています。それを強度の高いゲームでも常に発揮できる力を身につけてほしいですね。