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2021-2022シーズン 熱く戦い抜いた4年生の想い(VOL.30)

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紆余曲折の末、大学選手権準優勝という結果を残した今季。チームの中心としてグラウンドに立ち続けた4年生は、どんな想いを抱えながらシーズンを過ごしたのか。8人の選手に話を聞いた。  

PR/山本耕生
スクラムで味わった悔しさは次のステージで晴らす


 まだ大学ラグビーが終わったという実感がなく、正直言うと、決勝で負けたこともまだ受け入れられていない気持ちはあります。 それでもスーパースターがいないなかで、シーズンの最後までチームとして成長を続けられましたし、ここまでの結果が出せたことは誇りに思っています。
 今季は当初から「1番はスクラムの強い選手を出す」と言われていました。 その意味では対抗戦の終盤からリザーブに回されたのも仕方ないと捉えています。 もちろん悔しい気持ちはありましたが、リザーブにはリザーブの仕事があって、出場した際はゲームをしっかりと締めることを意識して毎試合臨んでいました。
 大学選手権のスクラムは、対抗戦よりもさらに強くまとまって8人で押すことを意識していました。準決勝まではうまくいっていたのですが、決勝の帝京だけはやはり違いましたね。 当然、対面の細木にも勝つつもりで組みましたが、結果を出せず、そこに関してはいまでも悔いが残っています。
 来季はリーグワンに進みます。 目標は今回の選手権で太刀打ちできなかった細木にスクラムで組み勝つこと。 何年かかってもいいので、それを目標に頑張っていきます。

HO/田森海音
帝京との決勝はラグビー人生のピーク


 まずはシーズンを通して、試合に出続けられて幸せだったと感じています。 ただし個人のパフォーマンスを振り返ると、対抗戦の序盤まではよくありませんでした。 特に日体大戦はコンディションも悪く、思うようなプレーができなかったため、前半が終わる前に交代を告げられました。 試合前のアップ中に痛みが出るなど理由はあったのですが、それもいまとなっては言い訳に過ぎません。 昨季からレギュラーになり、いつの間にか試合に出るのが当たり前という感覚になって、緊張感を欠いていたことが原因だったと思います。 FWコーチの滝澤さんからも指摘されましたし、「スタメンで出る以上は最善を尽くす」という姿勢を見直すよいきっかけになりましたね。
 帝京との決勝は自分のラグビー人生におけるピークだという自覚を持って戦いました。 スクラムは対帝京というよりも、対細木でしたね(笑)。 いちばん最初のスクラムで自分たちの思う通りに押せたのですが、逆にペナルティを取られてリズムが狂いました。 そういう反省点はあるにせよ、ボールキャリーに関しては強い気持ちを持って力を出せました。 試合に出られなかった、下級生の頃の苦しい時期も頑張ってきてよかったです。

FL/福田陸人
サポートしてくれたルビコンの同期に恩返ししたかった


 決勝の帝京戦はみんな硬かったですね。 トークの量もこれまでの試合と比べて少なく、相手が強かったにせよ、リラックスできていれば、もっとできたのではないかという悔いは残ります。
 バックローの選手として、シーズンを通して意識していたのはボールキャリーとジャッカル。 特にボールキャリーに関しては相手をズラして前に出たり、空いているスペースを見つけて走りこんだりと、チームを前に進めることができました。 また、シーズン後半からは大石(康太)がNo.8に固定されたことで、FW全体がよくなっていきましたね。 僕はしゃべることがあまり得意なタイプではないのですが(笑)、大石はプレーはもちろん、トークでもチームを引っ張ってくれたので、シーズンが進むにつれてFWにまとまりが生まれました。
 特に感謝したいのはルビコンの4年生たち。 負けが込んでつらい時期もチームのために一生懸命サポートしてくれて、結果を出すことで恩返ししようと思っていました。 最終的な結果は思うようなものにはなりませんでしたが、試合後にルビコンの4年生たちから「ありがとう」と言われたときは嬉しかったですね。 明治というチームで4年間を過ごせて本当によかったです。

No.8/大石康太
いまのチームで1試合でも多く戦いたい


 走り勝つラグビーを目標にフィットネスを強化してきたシーズンでした。 その結果、運動量は例年よりも大きく上がって、今後の明治の特長になると思います。 ただし帝京と戦ったときに、フィジカル面で対応の難しさを感じました。 どうしても勝ったほうが正しく見えるので難しいところではありますが、そのあたりのバランスは今後考えていってもよいのかもしれません。
 大学選手権のチーム状態は本当によかったですね。 初戦(天理戦)の1週間前に慶應とのB、C戦があったのですが、この試合に出たメンバーが本当にひた向きにプレーをして、明治のあるべき姿を見せてくれました。 僕らメンバーにとっていい刺激になりましたし、「いまのチームで1試合でも多く戦いたい」という気持ちが自然と生まれてチームがひとつになりました。
 FW全体としては、明治のFWはどうあるべきかを常に意識しながら、ユニットの精度を高めてきた1年でした。 いいユニットができたという実感はあったのですが、決勝の帝京戦はセットプレーをかなり崩されました。 この悔しさを糧に、来季、山本嶺二郎や大賀宗志がどんなラインアウトやスクラムを作ってリベンジを果たしてくれるのか、期待しています。

WTB/松本純弥
もっと自分のプレーにフォーカスしてもよかった


 最上級生になったことで自分よりもチームを優先した1年でした。 紫紺を着る機会も限られていますし、その重みが3年生までとはまるで違って感じられました。 WTBとしてトライを取ることはもちろん狙っていましたが、後輩たちがのびのびとプレーできるように、ボールキャリーなど細かいプレーの一つひとつに責任を持つことを意識していました。 それはそれで大事なのですが、いま振り返れば、チームのことを考え過ぎず、もっと自分にフォーカスしてもよかったのかなと思います。
 雲山(弘貴)、(石田)吉平と組んでいたバックスリーに関しては、よくコミュニケーションが取れていました。 相手の陣形をよく見て、ディフェンスの空いているところや、キックを蹴るタイミングなどは意思疎通がしっかりできていました。 特に雲山の存在は大きく、彼がいい形でボールを持てればトライや勝利や近づくので、CTB陣も含めてBK全体で考えてプレーすることは多かったですね。
 後輩たちにはとにかく自信を持ってほしい。 明治でラグビーをしていることに誇りを持てれば、「このチームでよかった」と思える瞬間が来るので、一日一日を大事にしてもらいたいですね。

CTB/江藤 良
チームの強い結束が生んだ早稲田戦の勝利



 今季、大事にしていたのはコミュニケーションをとること。 特別優れた選手が少ないなかで、お互いに要求しあうことがチーム全体をよくする最善の方法だと考えていました。 シーズンが深まるにつれてコミュニケーションの量が増えていき、それが(大学選手権の)決勝進出につながったと思います。 僕個人としても、よい“中継役”になることを意識していました。 隣の12番にはスキルの高い廣瀬(雄也)がいて、バックスリーにも能力の高い選手が揃っていたので、アタックもディフェンスもスムーズにいくように、状況を見ながらよく話すようにしていました。
 大学選手権は早稲田戦の勝利が大きかったですね。 対抗戦では自分たちのミスで負けるという悔しさを味わっていたので、「思い切ってやろう」と事前に話していましたし、特に4年生は学年全体ですごく気合いが入っていました。 試合後、部員席に行ったときには、「彼らのサポートがあって勝てた」と思えて込み上げるものがあり、僕を含めてほとんどの選手が泣いていましたね。 改めて、明治というチームを選んで本当によかったと思います。 多くの方から“明治愛”をいただき、つらい時期も乗り越えられました。 素晴らしいチームに携われて最高に幸せな4年間でした。

CTB/児玉 樹
苦しみ続けた4年間その経験を次のステージで活かす


 ケガに悩まされたシーズンでした。 特に夏や秋は多く、コンディションやモチベーションの維持に苦しみました。さらに、リザーブはおろかメンバー入りさえできない時期もあり、いま振り返ると、その当時は周りの評価ばかりを気にしていたと思います。 そうした状況から脱するために、いま取り組まなければいけないことや練習に向かう姿勢を見つめ直しました。 結果、自分のことだけにフォーカスできるようになり、周りの評価がほとんど気にならなくなったんです。
 そういう姿勢で取り組み続けたことで、コンディションもモチベーションも徐々に回復していきました。 最終的にレギュラーには戻れませんでしたが、途中出場した際は、ボールキャリアとして前に出続けるという役割を果たせました。 明早戦のビッグゲインに関しても、難しいことは何も考えず、シンプルに前に出ようという気持ちでゲームに入ったことが大きかったですね。
 明治で過ごした時間は、もがき続けた4年間でした。 その都度の課題に逃げずに取り組んだことで、選手や人間として成長できたと思います。 いまは苦しめたからこそよかったと感じているので、この経験を次のラグビー人生でも活かしていきたいですね。

FB/雲山弘貴
下級生が自分らしくのびのびとプレーできるように


 ケガの影響で対抗戦の後半からの復帰でしたが、出場した4試合の出来はひどかったと思います。 8カ月のブランクがあったにせよ、本来の感覚を取り戻せないままプレーしていました。 大学選手権に入ると徐々に復調できて、ようやく以前の感覚が戻ってきたかなという感じでしたね。 準決勝(東海戦)からパフォーマンスがあがったのは、感覚が戻ったことに加え、ランやキック等いいプレーがひとつでもできるとメンタル的にも楽になれるので、そこで余裕を持てたことが大きかったです。
 今季は最上級生として、同じBKの選手に意見やアドバイスをすることが増えました。 特に下級生は自分の持ち味を出せていない選手が多くいました。 そういう選手がプレーしやすいように、僕がポジショニングを変えたり、個別にアドバイスをすることは多かったですね。 結果として、下級生たちがのびのびとプレーできるようになっていったので、意識的に行動してよかったなと、いまになって思います。
 だから来季以降、後輩たちには自分らしいプレーをして、ラグビーを楽しんでもらいたいですね。 本当にスキルの高い選手が数多く揃っているので、僕自身も期待しています。