明大ラグビーファンクラブ

最新ニュース

田中澄憲監督が語る「気の抜ける試合はひとつもない」(VOL.26)

このエントリーをはてなブックマークに追加
連覇を目指す今季の対抗戦は非常にタイトなスケジュールが組まれた。
この厳しい戦いをいかにサバイブしていくのか、指揮官に聞いた。

競争を課した夏合宿本当の勝負はこれから

 8月末に実施した合宿は、チーム内の競争、コンペティションをケガなく勝ち切ることをテーマに、タフな1週間を過ごせました。チーム内で競争することによってお互いにレベルアップでき、主力メンバーも安住の地に住み着くことが許されなくなります。こうしたことがチームの成長につながったと思います。ただし、チームづくりの進捗としてはまだ何とも言えません。チームがどれだけ前に進んだかがわかるのは、実際に試合をして課題が出てきてからでしょうね。
 この合宿で特に成長が見られた選手でいえば、まずは今季入学したSOの池戸将太郎が挙げられます。いい意味で1年生らしくないところを見せてくれましたし、スキルも非常に高いものがありました。山沢(京平)が手術明けで万全ではないため、合宿には一部しか参加できなかったこともあり、正SO争いという意味では、昨季を経験した齊藤(誉哉)も含めて、引き続き、切磋琢磨していってくれるはずです。
 またWTBの石田吉平もよい動きを見せてくれています。いろいろな場面に顔を出してボールに絡んでいく回数に関しては、非凡なものを感じさせました。昨季はセブンズの日本代表に帯同していたため不在がちでしたが、今季はコロナの影響で代表の合宿に参加するのが難しく、チームにいてくれるので、頼もしい存在になりそうです。
 あとはCTBの江藤(良)もよかったですね。もともといいものを持った選手ですが、昨季までは不用意なミスが多く見受けられました。この点に改善が見られ、部内マッチを含めて安定していました。こうした選手の成長や活躍という部分も、これから試合を重ねていく中で、よりハッキリとしたものが見えてくるはずです。

練習の強度を高めて逆にケガ人が減少

 今季は前評判が立たないため、自分たちの実力がわかりづらいのが実情です。試合をしながら課題を出し、修正していくという作業が必要になってくるため、まずはベースの部分をしっかりとつくらなければいけません。いま現在、そのベースづくりを進めており、練習強度は昨季よりも高く保たれています。そして、あきらかにタフな練習を課しているにも関わらず、ケガ人はとても少ない状況です。普段であれば、部員全体の10%ほどが何かしらのケガを負っていますが、現状はその半分の5%程度。強度の高い練習はしているけれども、それに耐えられるだけの身体ができてきている証拠と言えます。これはシーズン中のケガの有無にもつながってきますし、今季の強みにできる部分なのではないでしょうか。
 今季の対抗戦に関しては、気の抜ける試合はひとつもありません。開幕戦であたる立教は昨季、練習試合で苦杯を舐めさせられた相手。早稲田は昨季のBKの主力3選手が抜けたとはいえタレントは揃っていますし、帝京も力のある選手が数多くいるため、チーム力が落ちることはないでしょう。慶應は昨季、思うような結果こそ出せませんでしたが、逆にいえば、それがいろいろなことを変えるためのいい起爆剤になっているはずで、今季は違うチームになっている可能性が高い。筑波は昨季の飛躍を糧に、自信を持って積み上げてくると予想されます。
 こうした相手の状況に加え、今季は毎週のように試合が行われるタイトなスケジュールが組まれています。シーズンに入ったからといって極端に練習の強度を落とすことはしませんが、疲労などを考慮して微調整しながら、シーズンを戦い抜きたいと思います。