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選手のフィジカルを支えるコーチをClose up! 藤野健太 S&Cコーチ(VOL.26)

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近年の明治復活の要因の一つとして、選手のフィジカル、フィットネスの向上が挙げられる。
その影の立役者であるS&Cコーチの藤野健太氏に話を聞いた。
   

年々変わっていった選手の取り組む意識


 2017年に明治大学ラグビー部のS&Cコーチに就任しました。日々の指導の中で特に意識しているのは、正しいフォームでトレーニングに取り組ませるということ。ウエイトトレーニングの場合、選手はきつくなってくると、どうしてもフォームが乱れがちになります。しかし、それでは正しい効果が期待できないので、そこは強く意識させるようにしています。選手側の意識も年々よくなっていて、来た当初は〝こなす〟感覚で取り組んでいたり、回数をごまかすような選手もいましたが、いまではそういう選手は見受けられなくなりました。
 そして就任2年目の2018年からは、田中監督の意向で、僕が練習全体の週間スケジュールを組んでいます。ウエイトだけでなくグラウンドでの練習を含めて、1週間のうちでトレーニング強度を高く設定する日や、メインでフォーカスする部分などを考えて提示しています。僕自身ラグビー経験がなく、最初は右も左もわからない状態でした。
その中で田中監督に教えていただいたり、自分自身で考えたり、あるいは他のコーチからフィードバックをいただきながら、徐々に慣れていきました。またメディカルの方々もリカバリーにフォーカスして一生懸命に取り組んでくれているので、ケガ人も最少人数で済み、その点でもとても助かっています。

チーム全体で同じ絵を描いて進んでいく


 活動自粛期間中は直接指導ができなかったため、ZOOMを使って週に3回ほど指導にあたりました。その際に行ったのが〝タバタ〟というトレーニング。具体的には、スクワットを20秒間やり続け、10秒休むというサイクルを8セットで4本行うといったようなメニューです。こうしたものを30分間、いろいろな種目を組み合わせながら行いました。
動きそのものは難しくないため画面越しでも指導しやすく、また心肺機能を向上させるメニューでもあるため、自粛期間中に体力的な部分を落とさない効果もあったと思います。自由参加ではあったものの、多いときには30名ほどの選手が参加し、最終的に参加していない選手は一人もおらず、ある程度のフィットネスレベルを保つことができました。
 シーズンに向けてのフィジカルトレーニングに関しては、どれだけパワーを発揮できるかというところに焦点を当て、さらに、ポジションごとの種目を増やしていきたいと考えています。PRの場合はスクラムで首を使うポジションなので、首を緊張させながら大胸筋や広背筋を動かすメニューを行い、BKの場合は片脚で立った状態で力を発揮できるような種目を多く入れていく予定です。
 長いシーズンを勝ち抜き、日本一を達成するには、やはりチーム全体が同じ方向を向いていることが重要です。
選手だけでなく、コーチングスタッフ全員が同じ絵を共有して、同じ方向に進んでいくことが大事。
コロナ禍の中でも、自分がやらなければならないことをしっかりとやりきるという意識を持って、取り組んでいきたいと思います。