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【箸本龍雅】主将・副将が回顧する2020年(VOL.27)

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箸本龍雅主将


「自分のプレーに集中できたことでチームも変わっていきました」
難しい環境下でキャプテンという大役を任されたシーズン。
本当の意味で、チームをまとめるとはどういうことか。
深く考え抜いた末にたどり着いた答えとは――。

 
 

チームか個人かキャプテン特有の難しさ

 キャプテンという立場の難しさを感じたシーズンでした。チームを引っ張るという意識が強すぎて、空回りしてしまったところが間違いなくありました。自分のプレーにフォーカスできず、自分が関与していないところでミスが起こると、そこにフラストレーションを溜めたり、本来の持ち味である前に出るアタックにもこだわれていませんでした。
 特に辛かったのは、(対抗戦で)慶應に負けた時期。田中監督に相談し、その際に受けたアドバイスが大きな転機となりました。「周りが気になって、明治を勝たせないといけないというプレッシャーもあると思う。でもグラウンドに立ったら、まずは自分のプレー、いかにチームを前に出させるかというところにフォーカスすることが大事なんじゃないか」。この言葉を聞いたときに、「それでいいんだ」と思えて吹っ切れました。
 それまでは、自分がすべてを作りあげなければいけないと気負っていた部分もありましたが、BKは(森)勇登を中心とした4年生に任せればいいし、引っ張れるタイプの4年生はたくさんいる。そう考えると気が楽になって、ナンバーエイトのプレーに集中できるようになり、そこから個人もチームも変わっていったと思います。
(大学選手権準決勝の)天理戦は一切の油断なく、本当に最後の試合だと思って臨みました。天理は接点の強さを武器に、それまでの試合を圧倒的な点差で勝っていたチーム。自分たちのやりたいラグビーができなければ負けるくらいの覚悟はありました。それでも想像以上の差をつけられたので、力の差を認めざるを得ない完敗でした。

ゲームに出る本当の責任を感じた日

 4年間での一番の思い出は、2年生の大学選手権初戦の立命館戦でメンバー入りできなかったことですね。監督からは、「パフォーマンスが落ちているから試合に出せない」とハッキリ言われました。寮で試合を見ることになったのですが、僕が出場していたことで、普段ゲームに出られなかった4年生が、すごくアグレッシブにプレーする姿を目にして心が大きく動かされました。それまでの自分は、プレーの一つひとつに一喜一憂しながらラグビーをしていましたが、そうではなく、その日の調子がよくても悪くても、いま自分ができることをやり通すのが試合に出る責任だと思い知らされました。ひとつ前のプレーがたとえ悪かったとしても、次のプレーを100%でやりきる。そういう取り組み方に変わって、パフォーマンスが明らかによくなり、試合の中での波も少なくなりました。このときの経験が、そのあとの自分を大きく成長させてくれました。
 来季からはサントリーで、社員選手としてプレーします。シーズン以外は他の社員の方と同等の仕事をしなくてはいけないようですが、そうした難しい状況でも試合に出るため、そして試合に勝つために精一杯の努力をして、人間的に成長したいと思います。