2005年度のキャプテンは、リーグワンのクボタスピアーズ船橋・東京ベイでのおよそ10年におよぶコーチ経験を活かし、選手たちのポテンシャルを引き出してくれています。
特定の選手にフォーカスしない。明治はグラウンドに立つ15人
そしてチーム全体で早稲田に立ち向かう
2季前よりスポットのディフェンスコーチを務め、 今年の6月1日、正式にHCに就任した。
その当時、指導にあたれたのはク ボタの活動が休みの2週間に1回くらい。でも僕にとっては休日ではないというか、逆にエネルギーをもらえる環境だと感じていて。最初に話をいただいたときは、「新しい挑戦ができる」と、すごくワクワクしました。ただ僕はフラン・ルディケさん(※クボタHC)に本当に育ててもらったので、話をしてからでないと返事はできなかった。 ルディケさんには、「HCとしてなら喜んで送り出す」と言ってもらえました。
選手に対しては、「好きこそものの上手なれ」と言いますが、彼らがラグ ビーを楽しいと思える環境をつくりたい。接し方も上からではなく、できるだけフラットに。正直な意見を聞きたい、という意味合いもあります。
明治で指導を始めて約半年。チームの歩みをどう見ているのだろうか。
試合ごとに選手がすごく成長しています。チームのゴールは「奪還」で、そこに向かっている途中。これからが大事だ、と選手には常々伝えています。
だから夏合宿の練習試合の連敗(筑波戦、天理戦)もまったく気にならなかった。変革というのか、チームに刺激を与えて多くのことを変えたばかりの時期。実戦で試して、少しうまくいかない部分があっただけです。選手も徐々に適応して、以降の試合は随分成長したと感じました。勝利にこだわるのであれば、合宿前の調整を含めて、方法はいくらでもありますから。
BKの選手が複数のポジションを試しているのは、ふたつの理由があります。ひとつは選手個人の将来を考えて可能性を広げるため。もうひとつはスクランブルへの対応です。負傷者を含めて状況がどれほど難しくなっても、それを言い訳にせず戦えるチームにしたい。そのために、全員がポジションにとらわれないファンダメンタルスキ ルの基準をクリアできるようにコーチングしてきたつもりです。選手には、「ポジションが違っても普段どおりのプレーで問題ない」と伝えています。
目前に迫った明早戦。自身も2年と3年時に出場。 今季の早稲田は総合力が高く、佐々木隆道HCとは同い年で中・高・大と、しのぎを削ってきた。
彼は輝かしく世代のリーダーのよう存在で、まだ勝ったことがありません。 高校(啓光学園)でも強かったですし、 早稲田の時代は黄金期。だから勝ちたいというわけではありませんが、もちろん楽しみにはしています。
明早戦はやはり特別でした。ロッ カーを出てグラウンドに入った瞬間の 景色が全然違うんです。テレビで見る、 超満員のスタジアムに入っていくイメージ。独特な空間にいる感覚があって、まったく疲労を感じませんでした。
今季の早稲田は伝統的なアタッキングラグビーをスター性のある選手たちが支えている印象。すごくまとまっていて、自信に満ちた雰囲気もあります。
とくに佐藤健次選手と矢崎由高選手が注目されていますが、僕としては、明治はピッチに立つ15人全員で戦いたい。だから相手の特定の選手に焦点を 当てたくはありません。学生はそういうマインドになると、視野が狭くなりがち。そこはすごく気をつけています。 基本的には積み上げたものを発揮して、チーム全体で早稲田に立ち向かうことにフォーカスしたいと思います。