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吉田義人監督Interview(前編)指揮官に聞く、4年目の展望(創刊号)

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吉田義人監督Interview(前編)
指揮官に聞く、4年目の展望


春シーズンを終盤に迎え、1ヶ月もすると大事な夏合宿が始まる。
果たして、指揮官は現在のチーム状況をどのように分析しているのだろうか。
これまでの3年間を振り返りつつ、今季のチームビジョンについて吉田監督にたっぷりとうかがった。秋シーズン開幕直前となる次号と2回にわたって掲載する。

春シーズンの敗戦からチームが学んだもの

就任以来、監督として明治の矜持を取り戻す戦いに挑んできました。明治は多くのファンから常に愛され、憧れられる存在でなければなりません。そのためには、一人ひとりが人として力強く自律し、相手を打倒する前に自分に打ち克つ必要があるのです。
勝負が懸かった土壇場では、自分は毎日これだけやってきたんだ、という確固たる自信が何よりの支えとなり、苦しい状況におかれたときこそ、その人間の真価が問われます。私は現役時代にそのことを身をもって経験し、これまでの3年間を通じて、部員たちにそう伝えてきました。その結果、彼らのラグビーに取り組む気構えやメンタリティーは激変したと感じています。そして、2、3年目とシーズンを経て、チームも個人も徐々に力を蓄えて自信をつけてきたと思います。
さて4年目を迎えた今年の春シーズン序盤は過去3年間と全く状況が異なり、負け試合が続きました。敗因は、先ほど話した選手一人ひとりの「自信」にあります。
特に今年の4年生は力のある選手が揃っています。それ故に個の力に頼って勝負していました。ラグビーは、チームプレーです。みんなの力を合わせなければ勝利を掴み取ることはできません。なぜ負けたのか。その原因を部員とスタッフで話し合い、意思疎通を図りつづけたことで、改めて原点に立ち返ることができました。当然、試合に負けたくはありません。しかし負けが一番の良薬になる時期もあります。春シーズン序盤の敗戦によってチームにさらにまとまりができてきましたし、秋に向けて良い流れができつつあると手応えを感じています。

竹内主将を指名した理由とは

新チームを引っ張る主将に、私は竹内健人を指名しました。彼は高校時代まで主将の経験がなかったので、任命したときは驚いたようです。しかし、私はこれまでのキャプテン経験の有無はあまり関係ないと思っています。実際に私も大学時代に初めて主将を務めました。おそらく北島忠治監督がそれまでの私のラグビーに取り組む姿勢を見て、評価してくださったのだろうと思います。私は主将に指名されたとき、最初に部員たちに「俺は日本一になりたくて明治に来た。日本一になるためには誰よりも練習しないといけないんだ。俺についてきてくれ」と訴えました。
竹内を主将に任命した際、この当時の話をした上で彼に伝えました。「3年間ずっと見てきた中で、お前には明治で日本一になりたいという強い熱を感じた。お前はその熱をもって背中でみんなを引っ張っていける」と。
私が大学4年生時、明治は10年間大学王座から遠ざかっていました。日本一になるためには並み居る強豪に勝たなければいけない。そのためには練習の質も量もこだわらなければなりません。現在、明治が置かれている状況は、私が主将だったときと似ています。だからこそ、ラグビーをよく理解していて、正義感が強く熱で仲間を引っ張っていける竹内にキャプテンを任せたのです。

チームにまとまりが生まれ、良い流れができつつあると手応えを感じています。