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ALL FOR Meiji カラダづくりのキーマンにClose up! 第4回(VOL.4)

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カラダづくりのキーマンにClose up! 第4回
管理栄養士 山田優香さん

チームを動かす歯車のひとつに

今年2月の就任会見で、丹羽監督は春に取り組む課題のひとつに、体づくりをあげていた。帝京や筑波、東海など強豪校に比べると、技術以上にフィジカルの部分で差があったのは事実だ。今年4月、過去に日本代表の管理栄養士も務めた山田優香氏が明大ラグビー部の管理栄養士としてスタッフに加入した。そこで山田さんに、選手が現在取り組んでいる体づくりについて伺った。

―就任の経緯から教えてください。
管理栄養士としてキャリアをスタートさせた3年目の97年に、ラグビー日本代表の管理栄養士を務めることになったのですが、このときにラグビー関係者の方と縁ができ、今回、紹介という形で声をかけていただきました。

―栄養管理の難しさとは?
体を大きくすることは前提ですが、体重が増えたときに、それが脂肪での増量なのか、筋肉での増量なのかで、ゲームのパフォーマンスはまったく変わってきます。当然、筋肉量を増やして、相手に負けないパワーや体幹の強さを身につけなければいけません。
たとえば、体重が同じ100キロの選手でも、体脂肪率が15%と30%ではプレーの質が違います。体脂肪率30%の選手は15キロの余計な重りをつけた状態ですから、走力もなく、後半にはバテてしまう。つまり、私の栄養管理はラグビーのパフォーマンスを上げるための一部ということです。

―体格や体重の増減には個人差があると思います。
そうですね。量は食べるけれど体重が増えにくい選手もいれば、逆にすぐ筋肉になる選手もいるので、いくつかのグループに分けて指導しています。
そのため、就任してすぐに行ったのが栄養セミナーです。選手に栄養の知識を身につけてもらい、自分でやるという意識を持たなければいけないと話しました。また、定期的に体重、体脂肪、筋肉量などを測定して選手の体の変化をチェックしています。もちろん、グループ単位だけでなく、個別の相談に乗ることもありますね。

―就任当初の明治の選手の印象は?
オフ明けだったこともあり、ぽっちゃり型が多かったですね。絞らないとスピードも上がらない。体重が多いのに、脂肪が多い=筋肉が少ないを意味しますから。また、BKの選手は細いという印象を受けました。
帝京や筑波といった強豪校に対抗するには、体を大きくしながら、パワーとスピードをつけなければいけません。そのため、フィットネスコーチに「この選手は食事量が十分な割に体重が増えにくいので筋肥大させるメニューを多く取り入れ、集中的に体重増加を図ってはどうか」と相談することもあります。選手の体を変えるために、フィットネスコーチと二人三脚という感じですね。

―寮での食事のメニューすべてをコーディネイトされているのですか?
厨房の方に「こういうメニューを取り入れてもらえませんか」というようにオーダーしていく感じですね。オフ明けで体脂肪率が高いときは油の少ないメニューをお願いしたりします。
ラグビーの場合、身長と体重の関係が難しい。身長175センチ、体重105キロの選手であれば、一般的には肥満体型です。そこで彼らは、高タンパク質・低脂肪の食事とウエイトトレーニングをセットで行い、体脂肪率を20%以下に維持する。つまり、ラグビー選手は、身長に対して体重は多く、体脂肪は少なく、筋肉量を増やした体をつくらないといけない。寮の調理の方には高タンパク質・低脂肪のメニューの必要性を伝え、ご協力をいただいています。

―最後に改めて、意気込みを。
私は、あくまで監督・コーチ陣がやろうとしているラグビーを実現するうえでのサポートという立場です。体づくりという観点から、チームを動かす歯車のひとつになれればいいですね。

食事指導の一例
選手個々のデータも定期的に採取。食事指導のみならず、体重、体脂肪率や選手のフィットネスの数値の上下も確認するという。「体重がそのままで体脂肪が下がり、持久走のタイムが上がっていれば、確実にスピードはそのままで体が変わったと言えます。食事とフィジカルはあくまでトータルなんです」