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【神鳥裕之新監督】「試合、練習、シーズン。 すべてにおいて“オフ”の時間を大切にしてほしい」(VOL.28)

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田中澄憲前監督のあとを継いで、明治の新たな指揮官となった神鳥裕之氏。
かつての大型ナンバー・エイトは何を指針として標榜し、チーム作りを進めていくのか。
トップリーグでも指導経験のある新監督に話を聞いた。

現役選手から感じる意識と能力の高さ

 実は監督に正式に就任する以前の5月から、トップリーグ(※以下、TL)のシーズンが終わったこともあって、何度か練習の見学をさせてもらっていました。強く印象に残ったのは、とにかくよく練習しているということ。本当によく走っているし、ボリュームでいえばTLの練習よりも多い。それに加えて、選手たちのポテンシャルの高さも感じましたね。時代背景の違いもあるので一概には言えませんが、取り組む姿勢や準備、パフォーマンスを発揮するための情報量は、僕らが現役だった頃とは大きく異なります。ラグビーに対して真摯に取り組む姿勢は本当に素晴らしいと感じさせてくれました。
 実際に私が指揮をしていたリコーでも、1年目から活躍する明治出身の選手は年々増えていきました。ラグビーのパフォーマンスだけでなく、先ほども言った姿勢や考え方が明治でしっかりと培われてきたのだと思います。

〝オフ〟の時間をどれだけ大切にできるか

 昨年の早い時期に、田中前監督からこの話をいただいたときは非常に驚きました。安易に受け入れられる話ではないという感覚もあって即答はできなかったのですが、誰もができるわけではないですし、このようなチャンスをいただけるのは大変光栄なこと。また、現在のTLが終了し、新リーグが始まるにあたって、リコーは新しいチームへと変わっていくべきなのではという考えも持っていました。こうした理由があって、お引き受けいたしました。
 また田中前監督が言うには、大学の監督にはGMのような役割もあって、私がリコーで監督兼GMというキャリアを踏んでいることも大きかったようです。選手の人間的な育成や、規律や文化の創造、さらには大学側との折衝や、ステークホルダーの方々への対応などを含めて、バランスよく対応していくのに非常に適任であるというような評価をしていただきました。
 そして私自身が大切にしている価値観、〝オフ・ザ・ボール〟〝オフ・ザ・フィールド〟にも共感してくれました。
 現代ラグビーのボールインプレーは約35分。フィールド上には両チーム合わせて30人の選手がいるため、全員が均等にボールを持ったとすると、ひとりがボールを持つ時間はたった1分しかありません。では〝オフ・ザ・ボール〟の残り79分をどうするのか。そこに対して正しい準備を整えていくことで、いい結果につながると信じています。
 これを1日24時間、1年365日に置き換えても同じです。練習以外の時間や、試合のない日に何をすべきなのか。〝オフ・ザ・フィールド〟での過ごし方、準備……人はスポットライトを浴びているときは頑張るし、いいことも言うけれど、それ以外の時間のほうがはるかに長くて重要だというマインドでラグビーに向き合ってほしい。これらを選手たちにしっかりと伝えましたし、僕自身も生きていくうえで大事にしています。

エリートたちがひた向きに戦うラグビーを

 昨季まで指揮を執っていたリコーは、TLのなかでも決して強豪とは言えませんでしたが、泥臭く、ひた向きに戦い続けることで一定の成績を残し、多くのファンの方の心を動かすことができました。一方、明治は多くのエリートが集まっています。この素晴らしい選手たちが同じマインドで戦えば、もっともっとよくなるはず。結果はもとより、明治のファンでよかったと思えるようなチームを作っていくことをお約束します。