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明治の命運を握る2人が語る、対抗戦の展望とこれからの成長曲線(VOL.20)

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 田中澄憲監督×福田健太主将 スペシャル対談


いよいよ開幕を迎える関東大学対抗戦。王者・帝京を猛追する明治は、1998年以来となる全勝優勝を果たせるのか。
そのキーマンとなるチームの中枢、田中澄憲監督と福田健太主将が2人揃って意気込みを語った。

ターゲットは、あくまで大学選手権決勝。 春は通過点に過ぎません


(メンバー構成は)構想があってもいい意味で裏切られるんですよね
 

社会人とのゲームでつかんだ大きな手応え

――今季ここまで、順調にチームづくりが進んでいるように外からは見えます。

田中監督

 春は個人にフォーカスしたトレーニングが中心で、アタックもディフェンスもチーム全体ではそれほど取り組みませんでした。
でも、その中で選手がチャレンジして、競争の中に飛び込んでくれたおかげで、チーム力が上がったと思います。こちらが想像した以上でしたね。

福田主将

 昨年、(古川)満さんの代のチームが明治の殻を破ってくれて、僕らはその高いスタンダードを保ったまま、シーズンをスタートできました。
その結果、春季大会で優勝できましたし、TLのチームとのゲーム(※編集部注:7月21日=リコー/14●54、7月29日=日野自動車/7●21)でも負けはしましたが、いいチャレンジができました。


――昨年も同じ時期にNTTコミュニケーションズと練習試合を行いましたが、手応えとしては大きく違いますか。
 

田中監督

 去年は確か、スコアできなかったはずです。

福田主将

 はい。0点です。

田中監督

 今年は内容が違います。自分たちのアタックができればTL相手でもトライを取れましたし、いいところがたくさん出ました。成長できるヒントというか、選手にとっては新たな刺激になったと思いますね。


――田中監督にうかがいます。
そうしたシーズンを過ごすなかで、福田主将の存在の大きさを改めて感じることはありましたか。

田中監督

 彼をキャプテンに指名したのは、肉体的にタフなことに加えて「勝ちたい」という気持ちを強くもっていたから。
それはいまの明治に必要ですし、春はこちらが求めたことにコミットしてくれました。ただ、本人にはすでに伝えていますが、本番はこれからです。チームが進化していくには、福田だけでなく、リーダー陣や4年生の姿勢が下級生に波及していかないといけない。その部分はこれからですね。


――では、現状では合格と。

田中監督

 いや、ここで合格点を出してしまうとね(笑)。シーズンはここからですから。

福田主将

 そうですね(笑)。僕としても、ターゲットは来年1月12日の大学選手権決勝に置いているので、春は通過点に過ぎません。あとは、僕個人のパフォーマンス。そこが疎かになると意味がないので、レベルアップしていきたいですね。
 

激しいポジション争いがチーム力を引き上げる


――春のゲームで同じ学生相手に唯一敗れたのが、5月27日の天理大戦( 17 ●24)です。
このゲームに福田主将は出場していませんでしたが、その影響は大きかったのでしょうか。

田中監督

 春は天理大戦に限らず、東海大戦の後半も含めて、福田が出ている時間帯と出ていない時間帯ではゲームの内容に差があって、それが今季の課題ですね。
 天理大戦に関しては元々、福田を出さない予定で、苦しいゲームになることは予想していました。ただ、負けたことをネガティブにはとらえていません。昨年の夏合宿の練習試合もそうでしたが、天理大から学ぶことはたくさんあるんですよね。リロードの速さに現れている、タフに戦い抜く姿勢。負けて改めて、もう一度自分たちも取り組み直さないといけないと感じました。


――ゲームメイクについては、福田主将にかなりの部分を任せているところはありますか。

田中監督

 9番、10番がゲームを組み立てていくのは基本ですし、ゲームの中での修正、改善を含めて期待する部分ではあります。

福田主将

 ラグビーはやはり9番、10番がうまく機能しないと勝てませんし、それだけキーになるポジションです。
現状10番は固定されていませんが、うまくコミットし合って、いいハーフ団を組めたらいいなと思いますね。

田中監督

 10番は、松尾(将太郎)がケガをしていたこともあって、春はいろんな選手を使いました。その松尾は7月の日野自動車戦で復帰して、いいプレーを見せてくれたので、レギュラー争いも激しくなると思います。やはり、レギュラーが確約されると成長も止まりますし、だから福田にも、もっとプレッシャーをかける選手が出てきてほしいんですけどね(笑)。

福田主将

(苦笑)。

田中監督

 でも、福田はそういったことがなくても成長できる人間ですし、だからこそキャプテンに選びました。
 そもそも明治が目指しているのは、どの選手が出ても同じラグビーができるチーム。昨季もそうだったのですが、構想があっても、いい意味で裏切られるんですよね。昨季で言えば、この夏の時期に考えていたメンバーと選手権決勝のメンバーは全然違うんです。学生は短い期間ですごく伸びますし、そこにも期待しています。


――合宿を含めた、夏の期間に取り組んできたことは何でしょうか。

田中監督

 夏というよりも、7~9月をシーズン通しての第2フェーズととらえています。この期間はユニットの進化や、チーム全体のアタック・ディフェンス、それとキックの使い方を重視しました。特に7月はディフェンスにかなりの時間を割いて、それがTLのチーム相手にどれだけ通用するかを試したのですが、スペースを埋める意識は思ったよりも早く習得できていて、そこには手応えを感じています。

福田主将

 ディフェンスに入る2枚目の選手、セカンドマンの弱さがありました。そこが機能すれば、失点をもっと抑えられて、ゲームを有利に運べたと思います。ただ、リコー戦も日野自動車戦も外国人選手がたくさん出場していたので、そこは本番に向けていいシミュレーションになりました。
 

今年の対抗戦は、昨季よりもタフな戦いになると予想しています (田中監督)
 

帝京戦勝利のカギはゲームを通しての全員の集中力


――いよいよ対抗戦が始まります。最初のターゲットは、10月7日の筑波大戦でしょうか。

田中監督

 いえ、開幕戦(9月15日・青山学院大)です。そこにチームをいい形でもっていくことが大事。もちろん筑波も力をつけていますし、春も調子がよかったので、ひとつのターゲットにはなるとは思いますが。


――帝京大戦(11月18日)は、どのように位置づけていますか。

福田主将

 15人全員がゲームに入り込んで、80分間フルで集中できるかがポイントです。昨季の大学選手権決勝はゲームのターニングポイントで経験や集中力の差が出てしまったので、そこは昨季のゲームを経験した選手がフレッシュな選手をしっかりリードしたいですね。対抗戦でも勝負どころは絶対に来ますし、そこで僕やリーダー陣がひと声かけてチームをまとめられたら、勝利が近づくと思います。


――福田主将の勝負どころでの勘のよさは、監督も期待するところでは?

田中監督

 そうですね。ただ、昨季の序盤はまだ若いっていうか、勝ち気な性格が違う方向に出ていて(笑)。

福田主将

 (苦笑)。

田中監督

 それが大学選手権決勝という大舞台を経験して、チームの中での役割をすごく考えられるようになったと思います。
落ち着きが出ましたよね。

福田主将

 そうですね。乗れていない選手への声のかけ方は、これからも勉強しながらやっていきたいです。


――では最後に、この対抗戦の意気込みをお願いします。

福田主将

 目標とする大学日本一のために、まずは対抗戦でいい結果を残したいと思って日々努力しています。ぜひ熱い応援をよろしくお願いします。

田中監督

 今年の対抗戦は、昨季よりもタフな戦いになると予想しています。でも、成長できる機会でもあると思うので、そこを楽しめるマインドをもって、一試合ずつ戦っていきたいですね。


――期待しています。

ありがとうございました。

ファンクラブ会員からの質問に答えます!

田中澄憲監督

Q 練習時間に制約がある場合、田中監督がもっとも重視することや基本的な考え方を教えてください。

「何を捨てて、何を大事にするか。捨てるというのは、やらないという意味ではありません。明治の場合は早朝練習が多く時間も限られているので、ケガを予防する意味でもウォーミングアップは各選手が事前に行うように指示しています。ある意味、そこは(練習時間から)捨てている部分です。そういう工夫が大切ではないでしょうか」
 

福田健太主将

Q 長いシーズンを戦ううえで、キャプテンとして重視していることは?

「4年生がブレてしまうと、いろんな方向にレールが敷かれてしまうと思います。チームがきちんと日本一というレールに乗れるように、たくさんアンテナを張って、多くの選手を巻き込みながらやってきたいですね」