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2012年明早戦の見どころ(VOL.3)

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観戦がますます楽しくなる!
NHK・J‐SPORTS解説者(明大ラグビー部OB)砂村光信さんに聞く

2012年明早戦の見どころ

早稲田との対戦回数は定期戦(対抗戦)87試合、大学選手権12試合を数え、今年で100回目を迎えます。通算成績は(対抗戦)早稲田の50勝35敗2分、(大学選手権)明治の7勝5敗。果たして専門家は、今年の試合展開をどのように予想しているのでしょうか?

砂村光信 すなむら・みつのぶ
国学院久我山高校から明治大学へ入学。現役時代はスタンドオフ。1年、3年生時に対抗戦・大学選手権優勝(大学4年間、早稲田には無敗)。卒業後はリコーでプレーした。引退後はU- 23日本代表監督も務めた。現在はリコーに勤める傍ら、NHK・J‐SPORTSのラグビー解説者として活躍している。

注目プレーヤー
スタンドオフ(10番) 染山茂範
ゲームメイク、プレースキックをはじめ正確なキックに期待。独特の雰囲気や相手のプレッシャーに負けず、各エリアで冷静な判断ができるかがカギ。

注目プレーヤー
スクラムハーフ(9番) 西橋勇人

パスの速さとボールキープ、判断力が持ち味。明治としては、自由にプレーさせないように早目のプレッシャーをかけることが重要。

明治が勝利するためのポイント
①ファーストタックル、早稲田の球出しを遅らせる(集散の強さ)
②ハイパントのチェイス、双方のゴール前での攻防を制せるか

明早戦は「冬の風物詩」ともいえる、本当に特別な一戦です。両校のOB・学生が全国から国立競技場に応援に駆けつけます。1981 年の明早戦は、国立競技場の収容人数を超える66,999 人を動員しました。日本選手権よりも観客を集める試合は、他にありません。このように大観衆の国立競技場を舞台に、独特な雰囲気のなかで行われる明早戦ですから、毎年下馬評どおりになりません。例えば対抗戦6 位が確定し、大学選手権出場を逃した2008 年は、圧倒的早稲田有利と言われていたにも関わらず、明治が勝利を果たしました。

エリアマネジメントができる明治
チャンスをそつなく活かす早稲田


今年の明治は、選手個々人に判断力(ラグビーに対する理解力)が備わりました。これまでは自陣からFWで押していったり、無理なプレーで不必要にボールを失うなど、攻撃に連続性と一貫性があまりありませんでした。しかし、今季は変わりましたね。どうすれば勝てるのかをチーム全体が理解できているという印象を受けます。特に筑波戦が象徴的でした。相手陣まではBKを使ったり、ロングキックやハイパントをうまく織り交ぜるなど、エリアマネジメントができていました。BKがうまく攻撃に加わりながら、明治伝統のゴール前のモールやスクラムでトライもとれますし、時間帯や状況によって見せ場をつくることができるチームになりました。攻撃力のみならず、両センターをはじめとして全体のディフェンスもいいのが今年の明治の特徴です。
一方、早稲田は伝統的にそつのないチーム。相手のミスにつけ込み、それを得点に結びつける力を持っています。帝京戦でもPGのボールがバーに当たって跳ね返り、そのボールを早稲田の選手が抑えてトライしたシーンがありましたね。これは選手が懸命にボールを追いかけているからこそ生まれたトライ。相手に押し込まれても、少ないチャンスを確実に活かしてくるチームですから、常に気を抜けません。

ハイパントからタテに仕掛ける明治
早い球出しとワイドな展開の早稲田


明治が勝利するためには、ファーストスクラムが重要です。早稲田の今季のキャプテンは最前列の1番・プロップの上田ですから、彼に対して明治が組み勝つことがポイント。FW戦で主導権を握るだけでチームに与える安心感は全然違います。今季の明治のFW陣は4年生主体で、よくまとまっていますから、ここで押し勝てば俄然明治のペースとなるでしょう。
ハイパントでのチェイスも重要なプレー。FWが押すことも含めて、いずれも明治の得意とするタテ攻撃ですから、明治が早稲田陣へ攻め込んだときのゴール前の攻防は見物だと思います。ボールが高く上がったら、明治の両センター(12 番、13 番)の動きに注目してみてください。
対する早稲田はラインブレイクをして最後は11 番、14 番の足の速いウイング二人につなぐ展開が予想されます。常にラックから速い球出しを意識してプレーしてくるはずです。特に9番のスクラムハーフ・西橋は、速いパスと冷静な判断力が武器ですから、自由にプレーさせてしまうと、明治は苦しい。接点でスムーズにボールを出され、ワイドに振られつづけてトライを奪われる形は避けたいですね。疲労度が高まりますし、明治側も「どうしようもない」と気持ちが切れてしまう危険性もありますから。
明治としては、まずはゲインラインを切らせない。つまり前でタックルを決めて相手を止めること。そして次のサポート選手が、早稲田のボールキャリアに対してしっかりと絡む。ここを対応できれば、必然的に早稲田の球出しも遅くなってきます。ファーストタックルと次の選手の寄り(集散の強さ)は、勝利へのカギを握るといえるでしょう。
個人に目を向ければ、明治のキープレーヤーは10 番・スタンドオフの染山。彼は正確なキックも持っていますし、各エリアで最良のプレーを選択できれば、明治の勝利は近づくはずです。ただし、体格に恵まれているとはいえませんから、早稲田は攻守にわたり小さな染山(171cm、72kg)を狙って、意図的に大きな選手をぶつけたり、モールやラックに巻きこみ、知力、体力を消耗させると思います。明治としては特に染山周辺をしっかりカバーすることが大事です。
最後に予想スコアですが、希望も込めて、30 - 21で明治の勝利。常に明治がリードする展開を期待します。


昨年の明早戦をプレイバック
2 0 1 1. 1 2 . 4( 国立)
昨年の明治は、溝口前主将を筆頭にディフェンス力の高い選手が揃った堅守のチーム。明治は竹内主将などのトライで前半リード。後半は明治のタックルが決まり、早稲田の高速BK陣を自由にさせない。しかし1点差リードで迎えた後半終了間際、明治が痛恨のペナルティー。PGを決められ、惜しくも勝利を逃した。