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監督1年目を終えて Interview 2 丹羽政彦監督 (VOL.6)

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Interview 2
監督1年目を終えて
丹羽政彦監督


新体制1年目は、対抗戦5位。大学選手権セカンドステージ敗退と物足りない結果に終わった。シーズンを終えた指揮官にこの1年で積み上げられたもの、2年目で積み上げなければいけないものを伺った。

瞬間的な状況判断で対応できないミスが目立つ

まずは結果がすべてです。目標としていた対抗戦、大学選手権、ジュニア選手権という3つのカテゴリーでの優勝を達成できなかったことに責任を感じています。しかし、チームは1試合ごとに成長していきました。試合をしながら今年やろうとしているラグビーのスタイルを理解し、最終的には1点差でも負けない、ディフェンスで頑張れるメンタルの強いチームになったと思います。
1シーズンを通して残った課題は、アタックレベルを上げきることができなかった点に尽きます。FW戦でのこだわり、BKへのボールの供給、いかにエリアを取っていくのかを含めて、精度が十分でない面がありました。3対2や4対3とオーバーラップ(攻撃側の人数が守備側より余る)になった状態はそれなりに作れてはいたのですが、そこでスコアできませんでした。
特に、瞬間的な状況判断ができていないシーンが目立ちました。たとえば、相手のディフェンスの薄いところがあるのに、そこを突くのではなく、ディフェンスの厚い方向へボールを進めてしまうなどです。毎試合分析を行い、ミーティングを重ねて、オフェンスのオプションは数多く用意していましたが、状況によって判断して使い分けることができなかった。準備してきたことに対して、違った状況が生まれたときに瞬間的に対応する力まではなかったのかなという印象です。
相手のディフェンスに対して、どうアタックしていくか。そうした駆け引きの中で瞬時に判断して合わせていくのがラグビーというゲームの本質。これは明治であれ、早稲田であれ、帝京であれ同じ。ですから、精度をどこまで高められるかを来季、徹底して意識して改善していきたいです。

フィジカル強化とチーム全体の底上げは継続

今季はモールに固執しませんでしたが、その理由には次の2点が挙げられます。ひとつはラインアウトの精度を高いレベルまで引き上げられず、ラインアウトモールを試合で組めなかったこと、もう一点はラックの状態からモールをつくる際に芯になる選手が少なかったことです。こうした理由もあって、ゲインでサイドに進出したうえでのラッチ(FWのサポートプレー)を戦術として優先しました。
ゴール前でのモールは当然押しますが、現在のラグビーの世界的な流れを見ても、中盤で闇雲に押すことはしません。少しでもスコアにつながる可能性の高い戦術を選択しての判断でした。ただし、シーズン終盤にはナンバー8の松橋のように立ってプレーできる選手も出てきたので、来季は積極的に取り組んでいくつもりでいます。
さらにモールが膠着状態になったとき、ポジションはどうか、サポートがどうなっているか。細かいところを突き詰めていかなければなりません。
トータル的に見れば、大学王者となった帝京とはまだまだ差があるのは事実です。特に、今季から重点的に取り組んでいるフィジカル強化は、さらにレベルを上げる必要があり、急務です。
体格という点で明治は強豪校と比べて、見劣りしています。個々のレベルアップをはかるためにも、フィジカルの強化は必須。強かった時代の明治は体格に恵まれ、現在の帝京のようなラグビーができていました。ボールキャリアが当たって、相手が想定している以上に前の位置で接点をつくり、そこからボールをつないでトライを重ねていく。このように、それまで止められていたところを突破できるようになって初めて、ラグビー自体が変わってくるはずです。新たなフィジカルコーチを迎え、トレーニングメニューから見直します。
食事の摂り方もさらに見直していきたいと考えています。規則正しい生活は当然のこととして、よりアスリート食に近いレベルに引き上げられるように努力していきます。
また、今季は3年生以下の下級生がメンバーの中心でした。意図的にそうしたわけではありませんが、私は合計して3チームくらいがトップで出られるような組織でないといけないと考えています。選考の基準となるのは、コンディションや前週の練習の状況、あとはチームの規律を守れているかどうか。そこまで含めて、すべての選手に出場のチャンスがあると思っています。ゲームに出れば、チームの戦術に合わせて、自分の特性を出していく。今季、それが結果としてチーム全体の底上げにつながり、実際に選手たちの意識も大きく変わっていきました。

勝木主将のもと5人のリーダー制に

プレーの面で来季、強化していくポイントははっきりしています。ベーシックな部分でのスピード、判断やパスの速さ、タックルやディフェンスの強さ、キックの精度など、まずは個人のスキル向上が重要です。中盤からもう少し攻撃を仕掛けていくためにも、とにかくアタック力を上げていかなければいけません。ディフェンスは今季をベースに、前に出る戦術を取り入れて、より強化をはかっていきます。
新主将には勝木を任命しました。彼はキャリアも豊富で実力も確かです。何よりプレー自体がひたむきで一生懸命ですから、その気持ちを練習の段階から出してくれれば、チームもいい方向に進むと思っています。また、来季は副キャプテンを置かず、大椙と平井、長石倉、水野、村井という5名を各セクションのリーダーとしました。今季は1年目ということもあり、ある程度こちらが指示する体制を取っていましたが、それではチームが大人になっていきません。「自分たちがやるんだ」という意識を芽生えさせるためにも、勝木と5人のリーダーが中心となり、自発的なチーム作りを進めていきます。
4月の第2週目からゲームが始まります。3週目がオール早慶明で、4週目が青学大戦、5月4日には法政戦。その後は釜石、佐賀での早稲田戦、八幡山でのラグビーフェスティバル、日大、東海、帝京、慶應、最終週はオールスターとゲームが詰まっているので、それまでにチームの基礎的な部分は進めておきたいですね。



チームの全体の底上げを図れた1年来季はさらなるフィジカル強化とアタック力の向上を目指す