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Interview 「2016年に懸ける想い」 丹羽政彦監督 (VOL.13)

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そもそも明治はまだまだ発展途上のチーム。チャレンジし続けて初めて明治の強さが出る

明治はチャレンジしてこそのチーム

――まずは、昨シーズンの総括からお願いいたします。
昨季はすごく期待されていたチームだったと思いますが、最後のところで私自身の裁量の無さが出てしまいました。(大学選手権の)東海戦の後半、もう少し落ち着いて選手を送り出し戦わせることができていればと。私自身も1カ月ほど心の整理がつかなかったというのが正直なところでした。
しかし中村駿太(前主将)たちの代は、グラウンドだけでなく私生活面でも「いいもの」「悪いもの」をハッキリさせて、チームに〝いい文化〟を残してくれました。そこに対する上積みは、今季も継続してやっていくつもりです。

――新チームが始動して、約4カ月が過ぎました。
特にこの春は、3年生以下の選手たちの可能性を感じられるシーズンにしないといけません。昨季は試合に出た大半の選手が4年生だったため、下級生たちの経験値を上げることが春から夏にかけて重要だと考えています。

――ケガ人やU20日本代表への招集などでメンバーが揃わない状況があったとはいえ、春季大会の初戦は流経大に大敗(33●66)を喫しました。
スタートは厳しい結果になりましたが、あまり悲観していません。幸いにも昨年まで積み上げてきたラグビー、原点として立ち返られるものが、いまのチームにはあるからです。スクラム、ラインアウト、アタックのフォーメーション、タックルをはじめとするディフェンス。うまくいかないときに立ち戻ることができる、修正の指針になる原点があります。
この流経戦は、原点となるプレーができなかった場合、どういう結果になるかということを選手が身をもって知ったと思います。昨年も選手たちに言い続けてきたことですが、「そもそも明治はまだまだ発展途上のチーム。常にタフにチャレンジし続けて初めて明治の強さが出る」ということを思い出してくれたのではないでしょうか。

――あくまで立場は挑戦者。
周囲から「帝京を倒すのは明治」という評価をしていただくこともありますが、実際には違う大学に負けて帝京にたどり着くこともできていません。今季のチームスローガンに「MUSTWIN」を掲げていますが、僕は自分自身に勝つことがすべてだと思っています。向上心を持って、昨季以上にタフにやって結果を出す。その結果を共有して、全員で成長していくゲームをしないといけません。

――今季、戦術や技術的な部分で上積みしていくことは?
まずは昨年同様、チームの強みをしっかりと作る。FWはスクラム、長身選手がいなくなったラインアウトに対する工夫、モールを昨季以上のものにしていけるかどうか。やはりブレイクダウンや走力がポイントになってきます。ブレイクダウン周りの精度はまだまだなので、夏合宿までには帝京や東海、大東文化、流経、天理といった外国人選手のいる強豪校と互角以上に戦えるようにしたいと思っています。

――BKについてはいかがでしょうか。
今季は裏のスペースを見ることでエリアを取る、ゲインラインを切る、トライを取るということにフォーカスしているので、キックを使ったアタックは昨季よりも増えていくと思います。バックスリーの選手が昨季から大きく変わって、経験値が足りない部分もありますが、そのあたりが上がってくれば、BKは昨季以上のものになるはずです。

――下級生の成長と、何をすべきか理解することが重要であると。
もちろんそうなんですが、スキルの向上も必須です。具体例をあげるとパススピード。これが昨年よりも遅い。結果としてキャッチミスというよりパスミスでのハンドリングエラーが増えています。これまでのラインでボールが回らなくなっているのは個人スキルの問題なので、9月のシーズン開幕までに試合を重ねて、課題の克服に取り組んでいきたいですね。そうすれば、12月にはおのずと完成度を上げられると思っています。

 

自分自身に勝つことがすべて。向上心を持って昨季以上にタフにやって結果を出す


チーム全体でキャプテンをサポート

――今季、リーダーシップを取る立場
となる4年生はいかがでしょうか。リーダーシップを持ってやらないといけない立場になったとき、客観的に物事を言える選手が昨年に比べれば少ないかもしれません。いま、彼らには「立場や役割も含めて自分ができることを全うして、周囲の選手に気づかいができれば、それでいい」と伝えています。
今季のキャプテンの桶谷(宗汰)はどちらかといえばプレーで引っ張るタイプ。その桶谷がプレーに専念できるようにするためにも、周りの選手のフォローが大切です。これはキャプテンを務める選手の宿命ですが、パフォーマンスに関しては昨年以上のものが出せないかもしれません。しかし、彼は自分の立場を理解していますし、桶谷が試合でベストパフォーマンスを出せるようにすることが、今年のチームにとって特に大事だと思っています。

――そうなると、バイスキャプテンや学年リーダーの役割が大事になってきます。
昨年でいえば、Aチームで出られない選手たちが4年生を中心に一生懸命やっていた。こうした部分は昨年からの〝いい文化〟として残っていますし、3年生を含めた上級生全体で桶谷をサポートしていこうという話はしています。

――新体制というところでは、元日本代表のキャプテン・池田渉氏が新たにBKコーチに就任しました。
彼自身、現役時代のポジションだったSHに専門性があります。SHはいまの明治のラグビーにとって非常に重要なポジション。スキルの向上から取り組む姿勢、考え方にいたるまで指導にあたってくれています。成田(秀平)を中心とするBKリーダー陣とのミーティングでも、意見の統制が取れるようになっているので、うまくいっていると思いますね。

――監督は今季4年目になりますが、新たな取り組みはありますか。
このオフに、堀米(航平)をニュージーランドに個人留学させました。ご家族にもご理解いただき、1カ月間、新たな経験を積んできました。まだテストケースではありますが、OB会をはじめ多くの方にご協力をいただきながら、選手たちが将来的に日本代表で活躍するための国際経験を積めるように、制度化していきたいと考えています。

――では最後に、ファンの皆さんへメッセージをお願いいたします。昨年も温かいご声援をありがとうございました。私は明治ファンがラグビー界で日本一の声援部隊だと思っています。今季も選手は期待に応える戦いをしていきますので熱い応援をよろしくお願いいたします。