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田中澄憲監督『 “シンプルに強い”早稲田。 丁寧に準備して臨む』(VOL.24)

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W杯の影響で約6週間の中断期間を挟んだ今季の対抗戦。この間にチームは新たな気づきと力を得たと、指揮官は自信を見せる。

 


ラグビーの本質と向き合った中断期間  ケガをする選手が減った


 当初、W杯の中断期間はジュニアのゲームが多かったので、チーム全体をうまく底上げしながら、Aチームは対抗戦の再開に向けて、少し戦術的な付け足しを行う計画でした。しかしジュニアの初戦で帝京に0‐61と大敗したことで、あくまでジュニアの結果だとしても、チーム全体の課題だと受け止めて強化計画の見直しを図りました。そこでテーマとしたのが、『コリジョン』と『ユニティ』です。
 特にラグビーの本質、身体のぶつけ合いにあたる『コリジョン』は、春からの課題でした。昨季、大学日本一になったことで自信を持ち、ラグビーそのものがうまくなったのは良いことでしたが、〝痛さ〟〝苦しさ〟〝泥臭さ〟という本質から目を逸らしがちになってしまっていた。そのタイミングで、帝京にコンタクトで圧倒されて敗れ、チーム全体が良い意味で危機感を持つきっかけになりました。そこからは身体を当て合うコンタクト練習を増やしたのですが、面白いことに、逆にケガ人が少なくなっていきました。
 実はそれまでケガをしないためにコンタクト練習の量を抑えていましたが、結局は試合でケガ人が出るという悪循環に陥っていたんです。それがコンタクト練習を増やしたら、人間の潜在的な防御本能が働くのか、ケガ人がどんどん減っていきました。これには驚きました。その後のジュニアでは東海、慶應、早稲田に接戦でしたが勝利を収めましたし、チームは良い方向へ進んでいます。



選手層に厚みが増した


 この中断期間で伸びた選手が多くいます。ジュニアなら、4年生の矢野(湧大)。彼はリーダーズグループにはいませんが、ミーティングを主導して行うなど、良いリーダーシップを発揮してくれました。スタンドオフの齊藤(誉哉)はどんどん伸びて、まだ1年生ですが計算できるメンバーになってきました。
 あと名前を挙げるなら、柴(大河)。繁松(哲大)と同じオープンサイドフランカーの選手ですが、渋い仕事人になってきて、不安なくゲームに出せるかなと。もともと売りの泥臭いプレーに磨きがかかってきましたし、運動量も豊富。明治のバックローは身体をガンガンぶつけていくような、あえて言えば大味な選手が多い中で、こうした仕事人がチームに2枚いるというのは、大きなプラスになると思いますね。
 いま名前を出した選手に顕著ですが、この中断期間をうまく使って先発とリザーブの差を縮めることができ、こちらが「大丈夫」と感じて、思い切ってゲームに出せるだけのプレーヤーが本当に増えました。さらに名前を挙げれば、プロップ1番の山本(耕生)、フッカーの松岡(賢太)、BKなら石川(貴大)。あとはセンターの児玉(樹)がケガから戻ってきたのも大きいですね。シーズンも終盤を迎える頃には、良いリザーブが編成できるのではないでしょうか。



「今季の早稲田は強い」岸岡選手にプレッシャーを


 今季の早稲田はもともと良い選手が揃っている中で、ピークが来たなという感じです。FWもしっかりと強化されて、シンプルに強い。現時点では(※取材日:11月1日)、早稲田の力が抜けているのかなと思いますね。
 BKは、9から15番までSクラスの選手が揃っています。特にハーフ団、中でも飛距離の出るキック、高さのあるキックを蹴れて、長いパスも放れる10番の岸岡(智樹)選手がキーになるので、彼にはプレッシャーをかけないといけません。
 明治のディフェンス力もキーになってきます。早稲田のオフェンス力は本当に高いので、そこに対して我慢強く対応することが大事。しかも、早稲田はディフェンスも良い。その攻略の仕方は深く考えないといけません。とにかく丁寧に、しっかりと準備をして、この明早戦に臨みます。