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『ラグビー部に潜入。ファンが気になる、あれこれを解決!? おたっきー調査隊 テーマ:今年の明治は? 専門家の声を調査せよ』(VOL.20)

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春季大会で初優勝を飾った明治は、対抗戦でも優勝候補に挙がります。果たして専門家は今季の明治をどう見ているのでしょうか?今回は、ラグビーマガジン編集長の田村一博さん、ラグビーライターの向風見也さんに話を伺いました。

ラグビーマガジン編集長ラグビーライター田村一博さん


自分たちのプレーに自信をもって戦っている


 昨季から取り組んできたラグビーが今季も大きく変わることなく、さらにレベルアップした印象を受けます。
 その原動力となっているのが、田中澄憲新監督。ラグビーに対する知識が深く、最先端の情報にも精通していますが、それを選手に押しつけることなく、うまく導いて、選手自ら発見できるような指導をされています。ずっとTLでプレー、仕事をされてきた方ですが、4年生の存在を大切にするなど、大学ラグビーで勝ち抜いていくための方法を考え抜いていて、そのあたりが現在のチームにもよく反映されていると思いますね。
 対帝京というところで言えば、選手一人ひとりがフィジカルで負けていないのが大きい。多くのチームが帝京の肉体的な強さに圧倒されるなか、対等以上の力を発揮できることが、十分に戦える根拠になっています。昨季の大学選手権決勝は互角の展開ながら、ターンオーバーしたあとのボールの運び方など、最後にチームとして帝京に上をいかれました。
 しかし、この敗戦によって足りないもの、必要なものがチームとして自覚でき、それが形になりつつあると思います。ゲームの中でのコミュニケーションの取り方がよくなっていますし、時間帯と試合ごとの集中力や好不調の波がなくなりつつありますね。以前は素質だけで戦っていたり、FWで行くという意識が強すぎたりと、偏りとはまでは言いませんが、そうしたバランスを欠いていた部分が修正されてきていると見受けます。
 個人としては、キャプテンの福田健太選手に期待します。明治には皆さんご存知の通り、個性と能力を備えた選手が揃っているので、昨季の古川(満)選手のように彼がキャプテンとしてのキャラクターを確立できれば、チームはいい方向に進んでいくのではないでしょうか。
 今季の明治はFW、BKの連携が取れて、TL王者のサントリーに近いラグビーを展開しています。自分たちのプレーに自信を持っているところもいいと思いますね。今季の対抗戦は帝京と明治を軸に、慶応、早稲田、筑波の5校の中での上位争いを予想していますが、どんな展開になるにせよ、熱く激しい戦いを期待しています。

ラグビーライター向風見也さん


王者・帝京に対してどこまで高い質を保てるか


 本ページのリクエストに基づき選ばせていただきましたが、予想先発メンバーはあてになりません。
それだけ、いまの明治では激しいポジション争いが繰り広げられています。昨季HCとして大学選手権準優勝をおぜん立てした田中澄憲新監督は、試合仕様の練習を実施。各部員の動きをつぶさに観察し、控えに成長が見られたらすぐにチャンスを与えます。全勝優勝した春季大会でも全5試合で先発したのはSHの福田健太主将とFW第3列の井上遼選手のみ。年代別の代表活動などに選手が割かれていたこと、指揮官自らが「春はいろんな選手を使っていきたい」と宣言していたことを差し引いても、チーム内での緊張感が読み取れます。大一番のレギュラーも、その週の前半にならないと見えてこないでしょう。
 明治がタレント揃いであるのを前提に、田中新監督は言います。
「いい選手が揉まれることで、強い選手になる。これまで、いい選手のままで終わってしまう人をいっぱい見てきましたので、(明治の選手が)そうならないようにしていきたいです」
 現体制が実質的にスタートした昨季から、チームは「バック・イン・ザ・ゲーム(B・I・G)」という標語を打ち出しています。倒れた選手が戦線に戻るまでの時間を2秒以内と定めることで、球際で相手を勢いよく押し込んだり、相手防御に対し数的優位を作ったりしやすくしています。HOの武井日向選手、FLの朝長駿選手が接点で身体や腕をねじ込み、FBの山沢京平選手やWTBの山村知也選手が大外のスペースを効率的に仕留めます。
 春季大会では大学選手権9連覇中の帝京に勝ちました。もっとも勝った側も「まだどちらも完成していない」と浮かれていません。秋、冬と訪れそうな再戦時は、唐突なミスを犯さないであろうチャンピオンに対しどこまで自分たちのプレーの質を保てるかに注目が集まります。
 

【向さんの予想先発】
①齊藤剣 ②武井日向 ③祝原涼介
④土井暉仁 ⑤箸本龍雅
⑥朝長駿 ⑧坂和樹 ⑦井上遼
⑨福田健太 ⑩松尾将太郎
⑫森勇登 ⑬齊藤大朗
⑪高橋汰地 ⑮山沢京平 ⑭山村知也